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そう言ってるうちに、広い部屋に出てきた。
他の部屋と違って、より一層血生臭い。
ここが、処刑場か。
部屋の真ん中では、鎖で巻き付けられている人がいた。
間違いない、サヤだ……!!
叫びたい気持ちを抑えつけ、周りを気にしながらサヤに近付く。
サヤは気絶しているようで、俺の存在に気付かない。
周りにはリビドーの姿がない。
今のうちに助け出そうにも、鎖には錠がかけられていた。
「ヒロ、鍵はあるか?」
「この錠なら、この鍵で全部開くよ」
そう言って渡されたのは、他の鍵より少し小さい銀色の鍵だった。
俺はそれを受け取り、錠に鍵を挿し込む。
カチャリと、簡単に音を立てて開いた。
慌てて鎖を解くと、サヤは小さく唸って目を覚ます。
「カイト……助けに来てくれたんだ」
「話は後だ、サヤ。まずはここから逃げる」
「でも私、怪我してる……」
額を切ったのか、血が流れ出ている。
足も上手く動かせないようだ。
俺はサヤを背負い、ヒロの手を繋ぐ。
「何処か、治療できる場所はないか?」
「ボク、救護室なら知ってる!ついてきて!」
ヒロが俺を引っ張って、すぐの事だった。
突然の出来事に、俺たちは立ち止まる。
ヒロは目を見開いて、俺は何も出来ず呆然としていた。
赤い鮮血を浴びた布をかぶり、バカでかい首斬り包丁を持ったアイツ。
リビドーが、そこにいた。
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