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「やべぇ、逃げるぞ!!」
俺は動けないヒロを無理矢理引っ張り、奴と反対の方向に逃げる。
リビドーは人間ではない獣のような奇声を発して、俺たちを追いかけてきた。
まずい事に、リビドーの足は思ったより速い。
おそらく全力で走っても、簡単に追いつかれる。
俺は考えた。
何か、何かないのか?
ふと椅子の近くに目をやった。
さっきまでサヤを巻きつけていた鎖が、目に入る。
使えるか……?
俺は鎖に手を伸ばし、リビドーの方に向き直る。
リビドーは何を思ったのか、俺の目の前で止まった。
こいつら、ただの殺戮マシーンじゃなさそうだな。
少なくとも、考える力がある。
そう考えたら、相当厄介だぞ。
「ヒロ……」
小さな声でヒロに呼びかけると、無言でこちらを向いてくれた。
「あのリビドーの後ろ、その辺に転がってる石でどうにか出来ないか?」
俺が目につけたのは、壊れかけたバルブ。
そこから漏れ出してるのは、透明感のある綺麗な水だった。
一か八かだが、やってみるしかない。
「ボク、やってみるよ!」
「よし、任せたぞ!」
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