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久しぶり。
僕は慣れた箒に跨り今は飛行中。
向かうは、僕の生まれた村。
僕の生まれた村で、問題が起きたって聞いたんだ。
だから、まだ学園で学んでる最中にも関わらず、村へと向かう事になったんだ。
僕の村は、非常に遠い場所に有る。
王都に行って地図を確認したけど、きっとどの村よりも外れになる。
そして何よりあの村には魔法使いは居ないんだ。
あの魔法陣のせいでね。
僕が、学園に入学してダムドに話して初めて、発覚したって事で急いで魔法使いの手配をしたってダムドが言ってた。
って、事は僕の村にも魔法使いが到着したのかな。
そんな事を思いながら丸一日飛び続け、途中の宿場町で、一泊し再び飛び立った僕。
距離が有り過ぎて転移にも無理があるからね。僕は思いっきり箒で飛ぶ事にしたんだ。
偶には、ユーグにも思いっきり飛ばさせてあげないとね。
その日もずっと飛び続けて、途中の食事は箒の上で簡単な物を取って、僕は夕方近くに漸く村が見えた。
「やっと見えた!あれが僕の居た村だよ!ガイ」
僕の言葉に箒の先に乗ってたガイは、尻尾を揺らしながら頷いた。
『ああ。判ってる。懐かしいな。昔と一つも変わってねえな』
「ああ。やっぱり、ガイが彼女を預けたって村は此処なんだ」
『そうだ。此処は俺様の弟が起こした村だ。俺様の弟は、魔力が無くてな。けど、俺様と血の繋がってるって事で危険だし狙われる可能性が高かった。で、此処に村を起こして俺の事を思ってくれる奴を集めた。魔力が有ったり無かったりしても、王都で魔法使いとして生活するには厳しい奴が多かったからな。
そんな半端もんを集めたんだ。そして、必要な事を伝えて俺様はその村を出て・・直ぐだったな。あの魔獣にやられたのは・・』
悔しそうに言うガイに、僕は微笑んで言った。
「そっか。もしかしてガイは引退する時がきたらこの村でって思って作ったんじゃ無い?
色々厳しい村だけどさ。ノンビリした村だよ。ゆっくりしたら?」
僕の言葉に、ふうっと息を吐き出してガイは言った。
『そうだな。行きたい所も有るし』
そう言って、それからは一言も話さなかった。
僕は同じように無言で箒を操作して村の近くに舞い降りる。
箒をしまって、村に向かって歩き出した。
直ぐに、村に入る為の吊り橋が見える。
橋の入り口に柵と、入り口が見える。
この入り口が曲者なんだ。実はね。
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