第4章

2/12
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
 翌日。  講義が終わり、午後になると、秦盟はさっそく、桂薊児の家に向かった。  細い通りをいくつか入っていく。  門の手前で立ち止まる。  呉明州が見張りを付けていると言っていたのを思い出し、あたりを見まわすが、それらしい姿を見つけることはできなかった。  門に扉はなく、建物まで見えるのだが、今日は、洗濯物が干してあるでもなく、ひっそりとしている。  やましいところはない。  庭に入り込み、建物まで進んで、戸をたたく。  なかなか反応がない。 「薊児」  声をかけ、さらに戸をたたく。  やがて、戸が、細く開かれた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!