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手に取るように
望んでることが分かるんだ。
「もっと虐めてやるから……早く戻って来い」
耳元に囁いて
折れるほど
細い身体をかき抱いた。
瞬間。
うつろな目元はほんのりと
淫靡な薄紅色に染まり。
「和樹……?」
小さな手が
ギュッと俺の袖口を掴んだ。
だけどほんの一瞬だった。
何を言うでもなく和樹は再び
薔薇の散らばるベッドに身を投げた。
そしてそのまま
また深い闇に潜り込むように目を閉じた。
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