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「未来にはわいら全員のことが残ってるんか?」
「…情報量には差があるけど、実在していたことと、どんなことをしたかはだいたいね」
「いつ死ぬかも?」
「……」
「…そか。」
言わなくても伝わってしまう。
あなたたちが死ぬタイミングを知ってる。
どうやって死ぬかも知ってる。
史実通りの結末があなたたちにとってよいものではないと知ってる。
言えなかった。こんなに優しくて明るくて笑いあっている彼らの悲しい未来を。
彼らのうち誰一人として望まなかったはずの結末を。
だけど私は、
それを変えるためにここに来た。
今日は言えなかった。
言わないでいいと言ってくれた。
陽のことがあったその後から今までの私の生活を。
私にもう一度前を向くことを教えてくれた、
杏華さんとの約束を。
杏華さん、果たして見せますよ。
必ず。
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