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「あなた、誰?」
「自分は、怪しい者では、ありません。
や、椰子の実に宿った、み、水の精霊であります。」
(きっと、これは夢ね。)あかりは合点した。
「水の精霊さん。なぜ私の枕元に現れたの?」
「それは、自分を拾ってくれたあなたが、
清い心の持ち主だからであります。
そして、あなたの願いをかなえて差し上げます。」
「亡くなった人を蘇らせるのはおそらく無理だよね。」
「人の命に関わることは、できないのでありますが、
何かの道具が欲しいということはありませんか。」
「道具、道具・・・・そうだ、スマホが欲しいの。
学校の友達は皆持っているから
私は貧乏で買えないから何とかならない?
それが叶わないなら、学校の制服をもう1着。
あれ見て、
ツギハギだらけでしょ。」
衣物掛けにつるされているブラウスとスカートを
指して言った。
「あとシュシュも欲しいよ。
ポニーテールの結び目に付けるの。
茶色い輪ゴムで結んでいるのが
見えるとあまり美しくないんだよね。
あと、下着もゴムがゆるゆるになってきたから欲しい。
それと・・・」
水の精霊は右手を胸の前で広げて「待った」
のポーズを取った。
「自分は多くは出せないので、
スマホとやらを出しましょう。
どのようなものでありますか?」
「てのひらに乗る大きさで、
液晶画面がついていて、
通話ができて、
インターネットに接続できて、
好みのアプリが入れられる機械よ。」
水の精霊が両手を胸の前に広げると、
水色のボディに黄色い水玉模様が描かれ
背面に大きく黄土色で「笥魔舗」
と書かれた金属板のようなものが出現した。
「あかり殿が、スマホというから、
自分は当て字で笥魔舗(スマホ)と書いて見たのですが、
間違いでありますか。」
「いいえ、上出来よ。嬉しいな。」
(やっぱり夢ね。)
「あとシュシュというものは
布で出来た髪飾りでありますか。」
「はい。」
「その笥魔舗は頭に載せると、
髪飾りに変形します。」
言うとおりに笥魔舗をポニーテールの結び目に置くと、ふわりとした
水色の生地に黄色い水玉模様が描かれたシュシュに変化した。
「ありがとう。水の精霊さん。」
「ひ、ひとつだけ交換条件があります。
あかり殿が就寝している時間のうち1時間だけ
じ、自分にいただけませんか。
体調が悪くなるなどの不具合は一切ありませんので。」
「いいわよ。あかり殿はもう寝ます。」
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