0人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝あかりは目覚めると、
昨晩はやけにリアリティのある夢をみたと大あくびを
しながら鏡を見る。
あくび顔が驚き顔に変わった。
(あれっ。昨日の夢で貰った水玉のシュシュが
髪に着いている。)
ふわりとしたシュシュをポニーテールの
結び目から取り外して、
手のひらに置くと、
変化して笥魔舗(スマホ)に変わった。
(これって、夢じゃなかったの?)
笥魔舗はあかりを全自動で生体認証して
立体映像で初期画面を表示する。
(まずはメールかな。)そう思った瞬間に、
メールアドレス、電話番号付きの
友達の一覧が親しさの順番に自動的に表示された。
(えっ。ちょっと待って、
まだ何も設定していないよ。)
先頭に表示されている根岸京香に
スマホを手に入れたことを知らせたいと
思うと、思ったことが文書になって
メール本文作成ウインドに表示される。
一瞬でイメージ通りの本文が出来上がり、
京香に送信された。
(これって・・・一体・・・)
通信販売や交通機関のサイトを閲覧すると
スーパー会員扱いで、全て販売価格が
0円で表示されている。
思い浮かべた人の住所や健康状態・
収入まで個人情報が全て表示される。
「水の精霊さん、こんなことって出来るの?」
あかりが心の中で呟くと、
昨晩の黄土色の帽子・上衣・ズボンに
身を包んだ人物がすっと現れる。
「あかり殿、これは如何なる機密保護も
看過して通過する笥魔舗というあかり殿専用の
機械であります。
自分の姿はあかり殿以外の人には見えません。
笥魔舗は自動的に髪飾りに変形し、肌身離さず
持ち歩くこと前提です。周囲の人間には
水玉模様の髪飾りを手に乗せて触っているようにしか見えず
作り出したウインドも全て見えません。」
「こんな凄いもの、
貰って使っちゃってもいいの?
お洋服でも食品でも列車や飛行機の券でも
何でもタダで手に入っちゃうよ。
あとで買った分のお金を水の精霊さんに払わなければ
ならないの?」
最初のコメントを投稿しよう!