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だって、悠先輩は由乃さんが好きなはずでしょう?
ずっとずっと、由乃さんの隣にいたいと、願ってきたんでしょう?
…夢だったんでしょう?
由乃さんは、悠先輩にとって“特別”で―――
「…っ……まっ…だっ、て……っ由乃さん、は…っ…?」
ああ、もう、駄目。
混乱してしまって、上手く口が回らない。
頭も、回らない。
何も、動かない。
「…由乃のこと、特別じゃないって言ったら嘘になると思う。本当に覚えてないくらい小さいときから好きだった人で…初めて大好きになった人だから。そう思ったら、あの時も答えられなかった。…本当にごめん」
「―――…」
私が、由乃さんは特別かと聞いた時、悠先輩は何も答えなかった。
それが答えだと思った。
質問に対しても、私の気持ちに対しても、
それが答えだと思った。
だから、本当の意味で、決意出来た。
でも―――
「だけど、お前は」
「っ」
「お前は、違うよ」
私は…
違う…?
「水原は、違う。言葉じゃ表せない。それくらい好き」
「っ…」
「大好き」
…どうしよう。
涙が邪魔して、前が見れない。
全部震えて、それだって多分、悠先輩にバレてる。
だって、どうしたらいいの。
こんなの1ミリも想像していなかった。
今日で終わりだと思っていた。
二度と話すことも出来ないと思っていた。
もう、こんな風に、触れられることなんて二度と
「―――お前じゃないと駄目なんだ」
ないと思っていた。
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