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朝は雲がないくらいの晴天だった。
昼休みを過ぎたころから暗くなり、風が窓を揺らしてもうすぐ雨が降ると報せてくる。
今朝は外だけを確認して天気予報を見て来なかった。
もちろん、傘はない。
置き傘もないし、誰かの忘れ物の傘を拝借する勇気もない。
どうか帰りまでもちますようにと外を眺める。
「美央、傘持って来た?」
隣の席の香澄に聞かれて、無言のまま首を振る。二人の視線は暗くなった空だ。
「私もないんだよね。ヤバいよね。」
「降りそうだよね。帰りまでもつかな?」
「うーん。微妙?
あ、でも陽斗が持ってるかも。」
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