19人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
学校から駅までは、ゆっくり歩いてもせいぜい7、8分の距離しかない。
今日に限っては、とんでもなく遠く感じる。
宮前くんは特に何も感じていないような涼しげな表情で、私が濡れないように傘を時々傾け直してくれる。
傘に入ってきた意味があまりないのではないかと思うけれど、宮前くんは自分よりも大切そうに大き目の封筒を私との間に傘を持つ手を反対の手で持っていた。
とても持ちにくそうで、意を決して話しかける。
「それ、私が持とうか?」
空いた右手で彼の右手の封筒を指した。
「悪い、じゃあ頼む。」
右手から右手へ封筒が渡る。
最初のコメントを投稿しよう!