駅まで少し

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「それ、濡れると困るんだ。」 彼が傘に入りたかった理由はこの封筒らしい。 「分かった。」 両手で抱えるように持ち、ハンカチで上を覆った。 中身はなんだろう。 聞けば会話が成り立つのにそれも出来ず、黙って封筒と雨に神経を集中させた。 傘の中の半分のスペースを共有してもいいと許可したのだ。 雨が強くなり始め、風が吹き、斜めから足元を濡らし始める。 ハンカチを広げて濡れないように二人の間へ少しずらした。
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