第4章 『戦争への道』

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現在の日本は平和であると言って良いと思う。何を平和と言うのかを明確に定義する事は難しいが、戦争が行われていない状態を一先ず、平和と言って良いならば日本は現在、間違いなく平和な状態にあると言って良いだろう。 さて、2015年8月現在、国会では安保関連法案改正の審議が行われている。中身を一言で言えば、自衛隊を手段とする日本の国際的地位の向上と強化を狙いとするものである。ただ、この改正には国民の反対が多い。自衛隊の海外派遣が拡大されれば戦争に繋がり易いと考えているからである。 成長してある程度、日本の政治の仕組みが分かって来るようになると、いつも不思議に思っていたのは、なぜ、国は平和を脅かすような政策、例えば、憲法9条の改正や今回のような改正などを取ろうとするのか、なぜ、今の平和な状態を維持しようとする政策を取らないのかであった。 ところが、平和を維持しようとする思いは国も同じなのである。ただ、維持しようとする方法に違いがあるに過ぎない。国は平和を国益と考えるのに対し、国民は平和を個人的レベルに還元しその総体が国の平和と考える。国は国益を守ってこそ国民に平和がもたらされるが、国民は個々人の平和を守ってこそ国の平和に繋がると考える。平和を国は上から下へ、国民は下から上へと捉えるのである。 この齟齬が小さい間はそれほど問題は大きくならない。だが、国が国益を重視し、個人の利益を蔑ろにして国益を優先させた時が問題で、その究極の状態に陥った時がまさに戦争への道なのである。 今日、戦争が一度起こればその悲惨さは目に見えている。仮に、核兵器が使われれば受ける打撃は計り知れない。だからこそ、戦争だけは何としても食い止めなければならない。 では、どうするのか。まず考えられるのが、徹底した非武装化である。軍隊、軍事力を一切持たない。憲法9条がこの事を謳ってるが、他国から攻められた時にはどうしようもない。 次に考えられるのが、スイスのように永世中立国になる事である。詰まり、他国間の戦争には参加、干渉しない事を宣言するのだが、これには他国の承認が必要だし、自分の国は自分達だけで守る事になって逆に強力な軍隊を持たざるを得ず、日本が軍事大国になる事に対する中国、韓国など東南アジア諸国からの強い反発は必至で、しかも、アメリカの庇護を失った日本は孤立化し、経済に与える影響は相当なものになる。
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