第1章

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 映画『化物』の撮影は順調だった。 一十三の撮影は土日に集中して撮られた。 月曜から金曜まで、朝八時から夜八時までは武と一緒で、夜は特練棟に行って、夜十二時くらいまで、大山と技を磨いた。 毎日が楽しくて充実していた。世間はジムノペティ計画のせいで恐怖のどん底へ落とされているのに、 私はこんなに幸せでいいのかな?と思った。 しかし、幸せなら幸せで、悩みはあるもので、毎日、大山の事が、 どんどん好きになるし、武の事も、同じくらい好きになるのだ。 でも、正直、ほんの少し、武のほうが大山よりも好きである。 そんな自分は、やっぱりおかしいのかなあ・・・と一十三は真剣に悩んでいた。 葉子と陸奥は、相変わらず、特練棟で、イチャイチャしている。 葉子と一十三が居ると、 公安の笹川和美と元木美奈子のピリピリムードも どこかへ吹き飛んでしまうのだった。
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