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観客全員、雹を倒したかに思えた。
だが、雹の体から、再び白い光が放たれる。
「ふう、驚いた。そんなフラフラの体で、
よくそんな氣を練り上げたものですねえ。
流石です。武もびっくりしてますよ」
「えっ?武さんを、どうかしたの?まさか、武さんを拉致したの?」
「まあ、そんな様なものですかね。
武は本気であなたに恋をしてしまったらしい。
女とは、本当に魔物ですよ。
崇高な理念をいとも簡単に打ち砕いてしまう。
確かに、あなたは美しい。
しかし私を殺したら武の命も終えますよ」
「卑怯者!私が武さんを愛してる事を知ってて人質にとったんですか?!」
「いいえ。そうではないですが、最早、
そんな事を言ってられる立場ではないでしょう、あなたは。
全世界の九十七%の人々の命が懸っているのですよ。
あなたが私に勝てなければ、私は計画を進めます。
全世界の人間達に『ジムノペティ』を投与します。
さあ、闘いを再開しましょう」
雹は凄まじい勢いで一十三に攻撃する。
一十三は避け切れず、二、三発、喰らってしまう。
後方へ吹き飛んだ一十三は、なかなか起き上がれない。
特練棟メンバーも、全世界の人々も、ああっと声を上げてしまう。
「頑張って!一十三ちゃん!」
「勝って!一十三ちゃん!」
「負けないで!一十三ちゃん!」
テレビ中継を見ている人達の意思が、
だんだんと一つになってくる。
すると、一十三の魂の奥から、不思議な力が沸いてくる。
「全世界の人々の想念エネルギーが一十三さんに集まり始めたわね」
神田美鈴が呟く。
一十三は、ゆっくりと立ち上がり、
二弾目のオリハルコン・ツイスターの構えを取る。
闘氣が一弾目よりも更に上がっている事に雹が驚く。
「もう、氣力が尽きたと思ったら、
どこにそんなパワーを隠し持っていたのか・・・
まあいいでしょう。やってみなさい」
一十三は、意識が途切れそうになりながら、
右手のオリハルコン弾に氣を集中させる。
一弾目よりも更に強く、白金色の光が放たれる!
雹の闘氣も更に輝きを放つ。
一十三は、自分の右手が爆発しそうになる様な感覚を受けた瞬間、
オリハルコン・ツイスターを放つ!
弾は雹の心臓を正確に貫き、夜空へ消える。
しかし、今度は雹のオーラに全くダメージを与えられていない!
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