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それから三日経った。
武と雹が死んだ今、ホムラメディカルセンターの後継者について、
安田麗子から重大発表があるという。
マスコミが見守る中、安田麗子が、
十八歳の美しい双子の青年を連れて現れた。
「マスコミの皆さん。
ホムラメディカルセンターの全てを所有していた焔武氏の財産と権限は、
全てこの双子の兄弟が受け継ぐ事になります。
この兄弟は、武氏の生前に、
養子として既に正式に役所に届けを提出しています。
武氏、雹氏のお二人には、妻も子供もおりませんので」
それだけ言うと
安田麗子は報道陣の必死の呼びかけにも一向に相手にせず、
そそくさと立ち去った。
一十三は三越学園の食堂で、
姿と二人、スタミナニンニクラーメンをがっつきながら、
テレビで麗子の記者会見と双子の美青年を見ていた。
(成程。流石は武さんが選んだ後継者だなあ。頭が良さそう)
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、
姿と一十三は教室へ戻る。
担任が、二人の男子を引き連れて教室へ入ってくる。
見ると、先程の記者会見の双子ではないか!
「一十三!あれ!」
「うん。さっきの、だね」
「えーっと、今日から皆さんのクラスメイトになる、
焔零くんと、焔了くんです」
担任が黒板に、二人の名前を漢字で書く。
教室全体がざわざわとなる。
「みんな、昼の記者会見、見たかな?
そう。二人は、焔家の跡取り息子達です。
二人共、孤児院育ちで両親はいません。
そこに焔武院長先生が、養子縁組を申し出たそうです。
じゃあ二人共、姿さんと一十三さんの後ろの席に座って」
「はい」二人は静かに席につく。
「宜しく。司さん」
焔零からにこやかに挨拶され、
一十三は慌てて
「あっ、こちらこそ、宜しく」と頭を下げる。
すると零は
「放課後、お話があります。父、武からの遺言です」
と耳打ちしてきた。
「ええっ?!」
思わず一十三は大きな声が出てしまう。
「司さん。もう授業始まってますよ。
世界を救っても、学業をちゃんとしないと、就職できないわよ!」
と、担任が冗談ぽく言うと、クラス全員大爆笑する。
「・・・すみません」
それから放課後までの間、一十三は授業どころではなかった。
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