2人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
(今、自分の不安を解消したいが為に、道場へ行けば、
きっと一十三に気を使わせてしまうだろう。
それは愛じゃない。ただ自分が不安なだけだ。
葉子は、こういう所が分かっていない。
子供っぽいっていうか、お嬢様気質というか)
姿は葉子の顔を見て、クスッと笑う。
葉子は、姿の笑いに何かを感じとる。
「ちょっと。今の笑いは何?今、私の事、馬鹿にしたでしょ?」
「そんなに、むきにならないで。
葉子って、ホント、駄々っ子みたいねえ。
陸奥さん、苦労してるだろうな」
「なっ何よ。どうせ、私はガキよ」
「でも、あと九カ月後には、お母さんになるんでしょ?
もっと、大人になんなきゃね」
これを言われると、葉子は何も言い返せない。
ぷくっと頬を膨らませて、黙り込んでしまった。
姿はただ、クールに、祈る様に、一十三の応援をしていた。
(頑張って。頑張って、一十三・・・)と。
最初のコメントを投稿しよう!