第1章

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(今、自分の不安を解消したいが為に、道場へ行けば、 きっと一十三に気を使わせてしまうだろう。 それは愛じゃない。ただ自分が不安なだけだ。 葉子は、こういう所が分かっていない。 子供っぽいっていうか、お嬢様気質というか) 姿は葉子の顔を見て、クスッと笑う。 葉子は、姿の笑いに何かを感じとる。 「ちょっと。今の笑いは何?今、私の事、馬鹿にしたでしょ?」 「そんなに、むきにならないで。 葉子って、ホント、駄々っ子みたいねえ。 陸奥さん、苦労してるだろうな」 「なっ何よ。どうせ、私はガキよ」 「でも、あと九カ月後には、お母さんになるんでしょ? もっと、大人になんなきゃね」 これを言われると、葉子は何も言い返せない。 ぷくっと頬を膨らませて、黙り込んでしまった。 姿はただ、クールに、祈る様に、一十三の応援をしていた。 (頑張って。頑張って、一十三・・・)と。
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