第1章

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北川圭子はもう、幸せの絶頂にいた。これも焔のおかげだ。 絶対こんな事、起こるはずが無い、と思っていた。 今や北川は、ファッションモデル業もこなす、人気女優の一人である。 ただ、焔が言った「しばらく会わない様にしよう。今が一番大事な時だから」という言葉だけが、北川の心に深く影を落としていた。 今は毎日が忙しいから、会わなくても平気だが、 それでも一日休みがあると、焔とのセックスを想い出して寂しくなる。 どうしても我慢出来ない時だけ、通販で買った、 大人のおもちゃで気を紛らわせている。 少しは寂しさを誤魔化す事は出来るが、埋まる事はない。 だが、夢を掴んだのだ。 これくらいの寂しさは、逆に演技に幅が出て、いいと思っている。 「女って、強いな・・・」北川はそう独り言を呟いた。
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