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「クソが! ・・・・・・いくら力が落ちているからって、たかが人族風情にここまで・・・・・・!」
幼女は、大の字に地面に屈するこの状況に唯一、自由の利く両脚を激しく動かす。
そんな幼女の横に男性は座ると、空中に人差し指を使い、氷の線を書いていき、それを反転させる。
「キミの名前なんかどうでも・・・・・・はぁ!?」
男性は自らの名前”テンバ”と言う文字と一緒に書いた隣の字は、抜け出そうと必死に足掻いていた幼女の両脚が思わず止まるほど意表を付く言葉だった。
”自分はテンバ、一目惚れしました。結婚を前提にお付き合いしてください”
幼女は思わず動かせる首を傾け男性の顔を見たが、依然、無表情な顔からはまるで真意を読み取る事は出来なかった。
「・・・・・・それを飲めば助けてやると解釈して良いのか?」
男性は小刻みに首を縦に振る。
額やおでこ、鼻や頬に至るまで広がる大小様々な切り傷のせいからか、頷きには謎の迫力が感じられる。
「・・・・・・嫌だね。キミの気持ちはどうだが知らないけど、今のこの”魔族と人族の関係”で簡単にキミを信じられると思うのか?」
その問いに男性は氷の文字を退かすと、新しく別の文字を書いていく。
「どうすれば信じるか?・・・・・・それは無い。・・・・・・と言いはするが、今は人族の方がこの世界の覇者だからな、ボクに拒否権が存在するとは思えない」
明確な拒絶を示す態度と声は、八重歯を僅かに見せる引きつる口角と、おでこから垂れる汗が内心の心情を表している。
幼女の顔色を伺いながら男性は左手を幼女に近づける。
「ひゃ!?」
幼女の脇腹を優しく指で突く。
それにより、幼女の身体はその凹凸の無いスリムボディをくねらせる。
「ん! んふ! ちょ・・・・・・! やめっ! ひゃあ!?」
右に捻ると右側を突き、反対に捻るとそちらを突きを繰り返し、時には片方に限界まで追い詰め身体の逃げ場を無くしたりしていく。
追い詰められた身体に走る衝撃は幼女の中世的な声に女性を感じる甘い吐息が混じり、顔は不思議と笑顔になる。
「やめてって・・・・・・!? ちょっ!? そこは!? ふあぁ!」
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