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”吸血鬼は血さえ飲めばどんな状態でも回復すると聞く、だから飲め”
幼女の見えるところに設置し、その腕で再び頭を支え、自らの首筋を幼女の口の前まで近づけた。
それをされた幼女は限界の意識の中で目の前の文字を読む。
「・・・・・・吸えと?」
耳元で聞くには丁度の声は、男性の頭を縦に振らせる。
「・・・・・・分からんな・・・・・・そこまでして・・・・・・ボクを迎え入れたいのか・・・・・・?」
少しの間を置いて、男性の頭は先ほどよりゆっくり縦に振る。
その反応に幼女はゆっくり目を閉じると
「・・・・・・なるほど・・・・・・・ここが潮時か」
首から下が灰になった幼女は男性の首に噛みついた。
あれから、丸1日が経過した。
道の脇にある木の木陰に、太陽の日差しを避けるように座っている幼女が1人、微妙な不快感を仰ぐ鼻歌を奏でながら首をリズムに合わせ、振っていた。
その太ももに膝枕されているのは男性だが、無いはずの片腕はあり、傷だらけの身体は治り、目の傷も治ったその姿は、男性の思ったより童顔な寝顔があった。
「て~て~~とぉ~~! しゃる! って! っとぉ~~~~~! さいきょ~の~きゅーけつき~!」
気分が乗ってきた幼女は鼻歌のリズムの維持したまま、歌を歌いだしたが、急激な音程上昇、謎のビブラート、無駄にでかい声はすごい下手。
まだ目覚まし時計の方がマシである。
しかし、そのおかげで男性はそのまま太ももから転げ落ち、思わず両腕で耳を塞ぐ。
「お! やっと起きたか! ボクの天才的な美声がキミを死の淵から華麗に蘇らせたみたいだな!」
むしろ死人が出るであろう位の歌声だが、幼女の気分は最高に良いらしくその顔は天使と言っても差し支えない、悪魔だが。
落ちた芝生の上で、苦笑いをする男性がその右手で文字を書こうとした時・・・・・・男性は自らの右手を二度見した。
そのまま、握ったり開いたり、両手を合わせたり、自らの顔や髪、身体を慌しく触っていく。
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