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あの一件以来、
彼の声は小さくなり、
迂闊に聞いていると
催眠術にかかったように
寝入ってしまうくらいになった。
「呼んでいるよ」
「朱里さん、あの人ね、
ちょっと」
そう小声で言いながら
ヨシキは、
のそのそ入って来ると
朱里の耳元に言った。
「カーリーさんって、
怖くないですか?」
「カーリー?」
朱里の頭の中に、
クルクル髪の毛が浮かんだ。
“違った、これはカーラーだ”
「朱里さん、
今、変な事を
想像したでしょう?」
朱里の考えていることが
判るのか、ヨシキは
悲しそうな表情をしてみせた。
「カーラーとカーリーを
間違えたでしょう?
朱里さんらしい発想ですね」
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