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「よっちゃん~!
先に食べて来ちゃったよ。
ほんとに残念。
せっかくお昼一緒にって
思っていたのにぃ」
そう言って
昼食から戻って来た三人に
ヨシキは平謝りしていた。
その様子を、朱里は
歩道と植え込みの境の
手すりに座って、
じっと眺めていた。
「何だろうな、
変な感じがする」
そう思って目を閉じた。
神社などで見かける、
ギザギザの紙、御幣が見えた。
それを誰かが振り回している。
暗い部屋の中に
浮かんで見える緑の榊、
まっすぐに伸びるろうそくの炎、
白い装束。
「朱里さん?大丈夫ですか?」
いつの間に戻って来たのか、
心配そうに見下ろすヨシキを
朱里はじっと見上げた。
このせいか、そう思った。
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