第7話 かぶせ物

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空に浮かんだ雲が 魚を思わせた。 足元に 散らばる落ち葉も、 日増しに多くなって 来た気がする。 今日の朱里は、三歳くらいの 女の子に捕まっていた。 「だからねぇ、ママは 新しいお父さんとぉ、 仲良しなんだけどね」 「うん、それで?」 こんなに幼いのに 一端な口を利くのに おかしさがこみ上げて来た。 いつもならば朱里は占い所の 自分の場所にいるのだが、 この頃はその安住の地が 脅かされつつある。 新しく入った 占い師のマリさんと ヨシキが 口げんかをするように なったせいだった。 2人に挟まれて 聞きたくもない嫌味やら 何やらを耳にしているのは 胃にも悪い。
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