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「お父さんは?お仕事なの?」
「お父さんは歯のお医者さん」
「ふーん。そうかぁ」
歯医者と聞いて
内心逃げ腰になるが、
ここは顔を引きつらせる
だけに止まらせた。
朱里も通っているが、
治療中の自分の
百面相を見て、
医師も看護師も
良く笑わないで
いられるものだと
感心したりする。
痛かったら
左手を上げてね、と言われて
上げても無視されるので、
眉だけが動かせるので
顔で抗議しているのだけれども、
ちっとも利かない。
きっと彼らは
歯にではなくて、
心に何かを
被せてあるのかもしれない。
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