第7話 かぶせ物

10/34
前へ
/417ページ
次へ
「せめて子供を作る前に 相談してくれれば何とか なるんだろうけど、まあ、 そんな事も言ってられないか」 「朱里さん、 こんな所にいたんですか? 本当に脱走するのが 好きですねぇ」 “… 誰のせいだよぅぅ” そう言いながらやってきた ヨシキをぼんやりと 見上げながら思った。 田舎に比べると ここは確かに温かい。 それでも建物の間を 抜けて来る風に さらされていると 体が冷えてくる。 いつもならもう少し 赤く見える唇から 色が薄れているのを 見て取ったヨシキは、 近くの自動販売機に走って、 ホットコーヒーを 買って来てくれた。 少女にはココア。 朱里は思わず声を上げた。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加