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傍にいたヨシキも一礼して、
少し離れた柵に移動した。
「すいません、子供が」
「いいえ。良いお話し相手に
なって下さいましたから」
スーツを着て一見すると
キャリアウーマンのような、
きりっとした印象の母親は
朱里の首にぶら下がる
ネームプレートを見ていた。
それと知って朱里は
少し笑んで応じた。
「今ちょうど休憩中で、
外の空気を吸っていた所です」
「そうですか。
こちらの占い師の方でしたか」
「お座りになりますか?
空の雲がきれいですよ」
街路樹の枝の合間から
見える空は青く、高く、
ぼんやり見ていると
時間を忘れそうな気がした。
その間に、
隣に腰かけた母親の事が
頭の中に映像として
浮かび上がってくる。
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