第7話 かぶせ物

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その背を見送り朱里は言った。 「突然ですが、 このお子さんはとても無理を していませんか?」 指差した紙に 書かれた名を見て、 母親は朱里を凝視して来た。 少女が言っていた、 真ん中のお兄ちゃんだった。 そして朱里は 一番下の名前にも 指を向ける。 「彼女も、ですね。 あの齢にしては 物わかりが良すぎる。 しっかりしていていいけれど、 どちらのお子様も 我慢していますね」 「な、なんで?」 朱里が見たのは 新しい母親と 兄弟姉妹に気を使って、 いつも陽気に振る舞う 男の子の姿だった。
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