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向こうに見える舞台では
癒しに関した歌や
踊りが披露され、
その音に自分が
何を言っているかも
判らなくなり、
挙句には、
癒し効果のあるという
ふれこみのお香が漂って来て、
殺虫剤をかけられた
虫のごとくに
弱りかけていた。
“お香は好みがあるでしょ~。
あぁ、音がうるさいよぅ、
リモコンはどこだぁ!
もっと音を小さくしたいよぅぅ”
いつものようにぼやく
朱里のいる場所は
人の流れから外れたホール端で、
人ごみが苦手なので
ここを確保できたのは
良かったが、
脱走しようとする朱里を
阻むのは隣にいる
ヨシキだった。
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