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「朱里さん、
逃げたら駄目ですよ!
あと十分は受け持ち時間
なんですからね」
何時になく
強い口調のヨシキに、
恨みがましい目で応えて
朱里はため息をついた。
朱里は
こういった場所が嫌いで、
満員電車すら
気絶しかけるくらい
人の集まる所が怖かった。
もう少し詳しく言えば、
そこに付いて来る
おまけが嫌いなだけだった。
特に今日のように、
ヨシキがぴったり付いていると、
見えるわ、見えるわ、
眼鏡を外したくなるほどだった。
「うはぁ~来た~。
はぁ~、見たくな~いぃ」
「え?」
「あ、いえ、すいません。
こちらの事です」
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