110人が本棚に入れています
本棚に追加
「朱里さん、
捕まえておくべきでしょ?
ああいう場合は」
「いいよ。気に入った人に
観てもらった方がいいからね」
「だって今日の数が占い所の
人気投票にもなるんですよ。
駄目だなぁ、もう」
ぶつくさ言うヨシキを
相手にすることなく、
朱里は目で
彼女の動きを追った。
茶色のスカートにブラウス、
白いカーディガンを
羽織った姿は
まだ何処か少女のような
体つきだった。
「だるそうだなぁ、
無茶しないといいけど。
でも、そう思っても
何にも出来ないんだよね」
他人なので
出しゃばる事は出来ない。
お客が捌けたのを良い事に
ゆっくりと椅子に座り直した
朱里の脇で、ヨシキは一人
いらついていた。
最初のコメントを投稿しよう!