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客引きもせず、
他の占い師が来れば
お客を連れて行かせる、
朱里のやり方は
彼女たちの想像を
超えているらしかった。
その言葉が尚の事
自分を苛々させているとも
気付かずにヨシキは朱里に
押し殺した声で言った。
「朱里さん、
もう少しやりませんか?」
「 …… 」
「朱里さん?何を見て…」
ヨシキは
自分の足元に向けられた
朱里の視線を追って見て、
思わず言葉を失くした。
そこには
一枚のタロットカードが
落ちていて、あろうことか
足跡も付いていた。
焦って拾い上げると
確かに自分のカードで
一枚足りない状態で
お客を観ていたのかと思うと
恥ずかしさに
項垂れてしまった。
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