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それは若い者には
判りにくい事は判っていたし、
また、若い者が判っては
いけない事でもあった。
なぜなら、
その評価を求めて、
あくなき野望を抱き、
努力をして自ら傷ついて、
また磨かれてを繰り返して、
それでこそ人として
光るのだから。
それは見た目、
ダイヤの原石が
普通の石のように
見えるのと同じで、
たった一度の磨きとカットで
転がって隠れてしまったものは、
二度と磨いてはもらえないので、
宝石には成り得ない。
表舞台に立つことは
なくなるのだった。
磨かれてカットされて
痛いのは判るが、
その痛みは若いうちにしか
乗り越えられないもので
あることを朱里は知ってもいた。
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