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「朱里さん?何のこと?」
「息子さん?ですか?」
ヨシキを見て言う男に
朱里は苦笑いで首を振った。
「だと嬉しいですけどね。
残念ながら違います。
今いる所で一番優秀な方ですよ
ヨシキさん、こちら
私が行っていた学校の先生で、
今は事務長さんです」
「初めまして、
ハセクラと申します。
今度彼女に
こちらに戻って来て
もらおうとして交渉中でして、
今日はお返事を
伺いに参りました」
慇懃な物言いの男の言葉に
ヨシキは言葉を無くした。
戻ってもらうとは、
いなくなると言う事か?
朱里が?
驚いて何もいう事が
出来なくなったヨシキの頭上を、
カモメとカラスが
交差するように飛んで行った。
了
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