第9話 鶏肉料理

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占い所は ウナギの寝床のような 細長い形で、 その薄暗い 建物の中から見える、 明るい外の日差しを 受ける朱里が、 何か別の世界から 来たようにさえ思えて、 今にも火が付きそうな 雰囲気は一瞬で 消え去ったような気がした。 特にヨシキにとっては 救いの神の 降臨のような気がした。 「朱里さん」 「おはようございます ヨシキさん。 やっぱり今日は 停滞の日ですねぇ。 電車狙い撃ちでしたよ。 遅れに遅れて、 疲れちゃった」 黒のスーツ姿で 片手に占いに必要な道具を 入れた手提げを持った朱里は、 そこに居並ぶ皆を見て 首を傾げつつも、 自分の場所に入って行った。 それを潮に皆もまた、 不満の色を隠すことなく 自分の所へと戻った。
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