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朱里が言う、
停滞の日、と言うのは
占いで用いる星の
ひとつの象意で、
何事も用心と諦めが
必要だった。
なにせ、この日は
自分の頭上に
剣がぶら下がっている日、
と言っても過言ではないので、
注意がいる。
また、自分の為にのみ
物事を追うと
しっぺ返しは大きいので
自重しなくてはならないと
教わってもいた。
「朱里さん、聞いて下さいよ」
「ん~?Gでも出たかい?」
「ゴキブリなら
まだその方がいいです」
必要な道具を
出しながら言う朱里は、
元気のなさそうな
ヨシキを見て、手を止めた。
Gと言って
いつもなら通じるのに
今日に限ってなぜ
わざわざ言い直すのか、
朱里は少しだけ目を細めた。
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