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「朱里さぁん!」
「おすわり!」
「ぐわぁぁ」
不満げに一声鳴いて
椅子に腰かけたヨシキに
厳しく言い置いた朱里は、
我知らず安堵した。
年齢を考えろと言いたかったが、
どこか子供っぽいヨシキには
通じそうもないし、
二度も赤面させられるのは
ごめんだった。
「鳥の蒸し焼きも
おいしそうだな、
いや、ここはやはり…」
「やはり、ってなんですか?」
腕組みをしながら、
つぶやくように言われて
次第に不安になるヨシキに
朱里は言った。
「鳥小屋に帰れ」
「…ハイ」
すごすごと
戻るヨシキの後ろ姿を、
ネギを持ったカメが
見送っていた。
了
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