第10話  おひとり様

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その頃は、占いに 興味があった訳でもなく、 なんとなく見ていたと 言う気がする。 見知らぬ女の人の写真、 線香の香りが漂う狭い部屋で 祖父と孫がぎこちなくも、 居心地の良い 雰囲気でいたのを 思い出す。 母が言うほど祖父は 人情がない訳ではなく あれこれと聞く孫に 一つ一つ丁寧に 教えてくれたものだ。 良い思い出とは言い難いが、 そんなことを思い出して、 ヨシキはまた ため息をついた。 一年中苛々しっぱなしの母に 甘える事は難しいが、 朱里ならばと言う気持ちが ない訳でもない。 結局は母恋しさに 朱里の傍にいるのだろうかと 自問しかけて、 頭を振ったヨシキの耳に お客の声が聞こえた。
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