第10話  おひとり様

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気が付くと、目の前の彼女も カーテンをじっと見ていた。 「あ、すいません。 お話途中で」 「あの人、いつもここに いるんですよね?」 「は?」 睨むような視線の先に カーテン越しの朱里がいた。 ヨシキはその目つきを 何処かで見たなと 思いながら言った。 「あの、隣の者が何か?」 「何度か見て 頂いたのですけれど、 まったく 当たらなかったんです! 以前この話を 聞いてもらった時も、 うまく行くって言われたのに、 ちっともそんなこともなくて」 「えぇっ?」 その剣幕に驚いて 何もいう事が 出来なくなったヨシキに、 お金を置いて彼女はさっさと 帰って行ってしまった。 「あ、そうだ。あの目つき」 それが見慣れた 母のものである事に気が付いて、 我に返ったヨシキはカーテンを 勢いよく開けた。
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