第10話  おひとり様

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するとそこにはまだ お客さんと向かい合う 朱里がいて、 慌てて退いた。 「おや、よっちゃん。 タカさんは元気かい?」 「あ、はい。すいません、 まだ病院が良いらしくて」 「タカさんらしいな」 初老の男性に声をかけられて、 おずおずと顔だけ カーテンから出して、 ヨシキは挨拶をした。 細い体の老人は 杖をついているものの、 背筋はぴんと伸びており、 着物でも着せたら さぞ似合うだろうなと思った。 「ヨシキさん。 タカさんのお客様ですよ」 そうやって、 いつものように朱里が 紹介をしてくれるのだが、 今回は何となく 恥ずかしい気がした。
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