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「そこのカーテンの隙間は
出入り口かい?」
「そうなんですよね。
ここだけ開くんです。
カーテンが足りなかったのかも」
「つまらんケチをしたのかな」
そう言って笑って、
立ち上がった老人を朱里は
丁寧に見送った。
「どうしたの?なにかした?」
こういう時、朱里は怒らない。
何か事情があってそうしたと
考えるようだった。
もちろん、
ヨシキも朱里の方に
お客がいる時には
滅多に顔など出さないから、
そう受け取ってもらえるのは
ありがたかった。
事の次第を伝えると
朱里は難しそうな表情をした。
「う~ん。記憶がない」
「朱里さんは
あまり恋占いとかしないし」
「しない、ではなくて、
来ない、の」
苦笑いを堪える
ヨシキの脇腹を肘で突いて、
朱里は鞄から取り出した
ノートをめくった。
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