第10話  おひとり様

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そこには 日付と盤が書かれていて、 そのわきにはびっしりと 文章が並び、 その細かさに目が 引き寄せられるようだった。 「その誕生日の人は 見ていないなぁ~。 書き忘れはしないから、 まちがいかもね」 「すべてのお客さんの事を 書いてあるんですか?」 「そう。だって、まだまだ 修行中の身だもの。 あぁ言えば良かったって いつも思うから、 勉強も兼ねて、 何度も読み返しては 覚えようと思って」 驚くヨシキに、 メモを取るのは 前職での名残だと朱里は こともなげに言って、 カーテンを潜って、 ヨシキの方にやって来て、 残された二枚の紙を見つめた。 誕生日があれば本人が いなくてもある程度は判った。
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