第10話  おひとり様

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そうしていると 先ほどの客が いるような気がしたが、 雰囲気はまるで違った。 山の中に出来た湖のような、 透き通った物静かな感じは 朱里にしか 持ち得ないものであり、 その静寂さの 恐ろしさもだった。 神妙な雰囲気に生唾を 飲み込みながら ヨシキは言った。 「えと、確か、こうですね。 すべてきちんと 開けなかったので、 最初に何枚か開けた分と 最後しか判りません」 円形になるように 置かれたカードを 朱里はじっと見つめ、 ヨシキも倣った。 だが、 歯の抜けおちたような状態では カードの現す意味を繋げて行く リーディングにも 無理があった。 それでも、朱里は 円の中央にある一枚、 最終結果を示すカードと、 最初に開けたと言う内の一枚、 依頼人の置かれている 環境を示すカードを見て 言った。
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