第10話  おひとり様

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「実を言うとね、 私の本当の誕生日は違うの。 生まれた年がね、 女に良くないとかいうので、 祖母が頼んで 次の年に生まれたように 書いてもらったんだって。 今じゃ出来ない事だけどね。 でも公式には それになっているから 仕方ないよね」 ヨシキの顔も見ずに 朱里はそう言うと 苦笑いした。 「でも、この歳になると もう一年ぐらい 誤魔化してほしかったなぁ って思っちゃうけど」 「そ、そんなのあるんですか」 「うん、実際にそういう人に あったことがあるもの。 お互い、自分だけだって 思っていたからびっくりして 笑っちゃった。 一年で一番忙しい時にこそ 出来る芸だろうけどね。 昔の、というか、 最低でも私たちくらいの 年齢以上はあり得ると思うよ。 占っていてもおかしいなって 思う人は、誕生日が 微妙にずれている」
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