第10話  おひとり様

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「そうかぁ、 だから朱里さんって 占ったようには いかないんだ。 おっとと、 これは黙っていなくちゃ」 「ん~、なんか来るなぁ」 慌てて 口を押えたヨシキの耳に、 朱里が呻くように言うのが 聞こえた。 見ると朱里は俯き加減で 目を閉じていた。 「走って来ている。 焦っている感じ、女の人だ」 そう言うが早いか、 通路をものすごい勢いで 走って行く音が聞こえた。 次いで聞こえたのは悲鳴。 叫ぶような声。 一瞬にも思えた出来事に、 ヨシキはどうしていいか 判らずにいたが、 朱里は ハセクラに礼を述べると、 さっさと声のする方に 走って行ってしまっていた。
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