110人が本棚に入れています
本棚に追加
/417ページ
「そうかぁ、
だから朱里さんって
占ったようには
いかないんだ。
おっとと、
これは黙っていなくちゃ」
「ん~、なんか来るなぁ」
慌てて
口を押えたヨシキの耳に、
朱里が呻くように言うのが
聞こえた。
見ると朱里は俯き加減で
目を閉じていた。
「走って来ている。
焦っている感じ、女の人だ」
そう言うが早いか、
通路をものすごい勢いで
走って行く音が聞こえた。
次いで聞こえたのは悲鳴。
叫ぶような声。
一瞬にも思えた出来事に、
ヨシキはどうしていいか
判らずにいたが、
朱里は
ハセクラに礼を述べると、
さっさと声のする方に
走って行ってしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!