第10話  おひとり様

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「私、 美容師の免許を持っていて お店を出したかったんです。 でも反対されて」 「御主人は、頭はいいですが 怒ると手が付けられない。 自慢したがりですね」 「はい。 そんなことまで 判るんですか?」 「はい。その御主人を 燃える火に例えると、 貴女は燃やすための 薪になります。 妻として、身を粉にして 夫を支えますが御自分に 残るものは何もない。 それに気が付いて しまったんでしょう?」 最後の言葉に 彼女は泣きながら頷いて、 それでも、 何も言わなかった。 彼女の盤は 並外れた我慢強さをも 示しており、 それ故にここまで、 こじれてしまったのだろう。
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