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「私、
美容師の免許を持っていて
お店を出したかったんです。
でも反対されて」
「御主人は、頭はいいですが
怒ると手が付けられない。
自慢したがりですね」
「はい。
そんなことまで
判るんですか?」
「はい。その御主人を
燃える火に例えると、
貴女は燃やすための
薪になります。
妻として、身を粉にして
夫を支えますが御自分に
残るものは何もない。
それに気が付いて
しまったんでしょう?」
最後の言葉に
彼女は泣きながら頷いて、
それでも、
何も言わなかった。
彼女の盤は
並外れた我慢強さをも
示しており、
それ故にここまで、
こじれてしまったのだろう。
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