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絞り出すような声に、
朱里は黙って
彼女を見つめた。
今まで隠していた
自分と
他人との感覚の差。
そこを早く
誰かに言えていたら、
回避できていただろうか。
だが、
事は起きた後なのだ。
朱里はまっすぐに
彼女を見たままで言った。
「失敗も成功も
あなたのものです。
成功はありがたく受け取り、
失敗したら
次に生かせば良いだけですよ。
自分に足りないものを
教えてくれるために
失敗があるのだと
私は思います」
「 … 」
「どうぞ挫けないで、
陽の光を求めて
伸びて行って下さい」
「木、みたいに?」
朱里は頷き、
涙声で言った彼女は、
ほんの少し
笑顔を見せて
深々と頭を下げた。
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