第10話  おひとり様

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ここの占い所に 集う多くの占い師の中で、 名前を聞いたのは 朱里くらいなものだった。 その上で、 お互いの距離を測れる 楽な相手とも言っていた。 誰にでも自分だけの 居心地の良い空間がある。 そこに入り込まれるのは 煩わしいものだ。 まして他人ならば尚の事。 自分に 集中しなければならない この仕事では 必要不可欠だった。 「だとしたら、 今のこの距離は いいのかな。 朱里さん、 嫌なんじゃないかな…」 ヨシキの不安を 見て取ったように 朱里は言った。 「あ、タカさんはタカさん、 ヨシキさんは ヨシキさんだからね。 気にしなくていいよ。 もう空気みたいなものだし」 「空気?」
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