第11話  長い一日

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朱里は悲鳴を飲み込んで、 自分の手を触る お客を見つめた。 「聞いてます?」 「聞いて、ま、すぅぅぅ~」 強張った言い方しか 出来なかった。 もし、朱里の頭に 虫の触覚が付いていたら、 今はだらんと 垂れ下がっていた事だろう。 朱里は他人に触れられるのが 一番嫌いだった。 その一瞬に相手の情報が どっと流れ込んでくる。 これだけ近くにいれば 済む事なのに、 触られると尚の事、 色々感じ取れてしまうので 性質が悪い。 いつもならば 同調しないように 気を付けていると言うのに、 今日はあまりにも 調子が狂い過ぎて、 もはや どうすることも出来ない。
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