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朱里は悲鳴を飲み込んで、
自分の手を触る
お客を見つめた。
「聞いてます?」
「聞いて、ま、すぅぅぅ~」
強張った言い方しか
出来なかった。
もし、朱里の頭に
虫の触覚が付いていたら、
今はだらんと
垂れ下がっていた事だろう。
朱里は他人に触れられるのが
一番嫌いだった。
その一瞬に相手の情報が
どっと流れ込んでくる。
これだけ近くにいれば
済む事なのに、
触られると尚の事、
色々感じ取れてしまうので
性質が悪い。
いつもならば
同調しないように
気を付けていると言うのに、
今日はあまりにも
調子が狂い過ぎて、
もはや
どうすることも出来ない。
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