第12話 天より高く、海より深く

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“勤め人でなくなった事で 社会的な 基盤はなくしたけれど、 人の心は失わずに 済んだかもしれない。 って、今頃判るのも ドジだよなぁ~” そう心に呟く 苦笑いの朱里を他所に、 彼女は何となく 頷いて見せた。 「…そうなんですか? でも、あの、 どっちがいいでしょう?」 「どっちって?」 「放任が良いのか、 私みたいにされるのが 良いのか。 私、ちょっと悩んでいて…」 彼女の言うそれは、 朱里の若い頃は、 過干渉とか過保護とか 教育ママとか、 主に外部から見て 言われていたものだったが、 現在では 毒母と言う名前に変わって、 言う者も 当事者である場合が多くなり、 特異な家族環境にも 思われている。
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