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中央分離帯を挟んで
各三車線の車道に、
大きな枝を差し伸べる
街路樹がある光景は、
ここから見ると
おしゃれな街のように見えた。
歩道に面した
お店のガラス窓は
どれも大きくて
中の様子も良く見えて、
着飾ったマネキンの装いに
嫌でも目が行った。
「なんだか
同じ国じゃないみたい。
都会だ~」
朱里もかつては
そう思っていたので、
思わず笑ってしまった。
そして
この子と出会った
意味を考えた。
以前から朱里は、
物事には何か意味があって
自分のところに来るのだと
そう思っていた。
ではこの子は
何を自分に悟らせるために、
ここで出会ったのか。
そう心に呟いて
考え始めた朱里に、
道を見下ろしながら
彼女は言った。
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