第12話 天より高く、海より深く

20/28
前へ
/417ページ
次へ
中央分離帯を挟んで 各三車線の車道に、 大きな枝を差し伸べる 街路樹がある光景は、 ここから見ると おしゃれな街のように見えた。 歩道に面した お店のガラス窓は どれも大きくて 中の様子も良く見えて、 着飾ったマネキンの装いに 嫌でも目が行った。 「なんだか 同じ国じゃないみたい。 都会だ~」 朱里もかつては そう思っていたので、 思わず笑ってしまった。 そして この子と出会った 意味を考えた。 以前から朱里は、 物事には何か意味があって 自分のところに来るのだと そう思っていた。 ではこの子は 何を自分に悟らせるために、 ここで出会ったのか。 そう心に呟いて 考え始めた朱里に、 道を見下ろしながら 彼女は言った。
/417ページ

最初のコメントを投稿しよう!

110人が本棚に入れています
本棚に追加